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未経験から人事職になれるのか?


目次

第1章:そもそも人事職とはどんな仕事か?

人事職とひとくちに言っても、担当する業務内容は企業や組織の規模によって大きく異なります。まずは、人事の基本的な役割をおさえた上で、自分がどの領域に興味があるのかを整理することが、キャリア選択の第一歩になります。

人事は大きく分けて次の4つの領域に分類されます。

  1. 採用(新卒・中途)
  2. 労務・勤怠管理
  3. 教育・研修
  4. 制度設計・人事企画

企業によっては、上記すべてを1人が担当するケースもあれば、それぞれが専門職として分業されている場合もあります。ベンチャー企業では採用や労務を1人で担うことも珍しくなく、大企業では採用担当・研修担当・制度設計担当などが細かく分かれています。

「人事=採用」というイメージを持たれがちですが、それは人事業務の一部分にすぎません。採用はあくまで“人を迎え入れる”仕事。一方で“入社後の活躍支援”や“働き続けてもらう環境作り”も人事の大切な役割です。

また、人事は「社内の従業員に向き合う仕事」である一方、「経営戦略に直結するポジション」として企業の成長を支える役目も担っています。経営層とのやり取りも多く、組織設計・評価制度・人材配置など、事業に直結する議論に関わる機会もあります。

とはいえ、未経験からこの領域すべてをいきなり担当するのは現実的ではありません。最初は「人事アシスタント」「採用担当」「総務兼人事」など比較的スタートしやすいポジションを目指すのが定石です。

つまり、人事職といってもその中身は幅広いため、

  • どの領域に興味があるのか
  • 自分の経験がどこに活かせるのか

を整理しておくことで、自分に合った転職先を見つけやすくなります。


第2章:人事職に求められるスキルと適性

人事職は「人と接する仕事」というイメージが強く、コミュニケーション能力やホスピタリティが重視されがちですが、それだけでは不十分です。実際には、業務の7〜8割は事務処理やデータ管理、社内調整といった、ロジカルかつ正確性が求められる仕事が多いです。

以下に、人事職に必要なスキルを大きく5つに分類してみます。

  1. コミュニケーション力:候補者・社員・経営陣・外部企業と多方面との調整力
  2. 事務処理力・正確性:入退社管理、勤怠、社保手続きなどにおける正確な業務遂行
  3. 情報管理力:個人情報や給与などの守秘義務を扱うための意識と知識
  4. PCスキル:Excelでのリスト管理、Wordでの文書作成、Googleツールの運用
  5. 論理的思考力:評価制度の設計や、採用戦略の立案に必要な分析・企画力

人事職は「人と接する=楽しい」という面だけでなく、「人に関する課題に、冷静に向き合う」覚悟が求められる仕事です。クレーム、ハラスメント、退職トラブルなどの対応もあります。特に未経験者にとっては、「人のことを考える仕事」に魅力を感じるのは当然ですが、「人に振り回される仕事」でもあることは、理解しておく必要があります。


第3章:未経験から人事職を目指す3つの王道ルート

未経験から人事職を目指す場合、いきなり採用マネージャーや人事企画などの中核業務に挑戦するのは現実的ではありません。ですが、段階を踏めば十分にキャリアを築けます。

  1. 人事アシスタント/採用事務からのスタート
    最も王道ルートです。応募者管理や面接日程調整、求人票作成などから経験を積むことで、採用実務の全体像が見えるようになります。
    →前職での事務経験、マルチタスク処理の経験が強みになります。
  2. 総務・バックオフィス職からの兼務スタート
    中小企業では、総務と人事の役割が曖昧なことも多く、人事業務の一部(労務管理、入退社手続き)を担当することができます。
    →社内調整力や事務処理能力を強調するのが効果的です。
  3. 人材業界(派遣・紹介)の営業やキャリアアドバイザーからのシフト
    人事と似た視点を持ち、候補者支援や企業対応経験を積める業界です。
    →「次は自社の人材戦略に関わりたい」という志望動機に繋げやすいです。

このように「段階的に人事へ近づく」意識を持ち、まずは経験が得られるフィールドに入ることが、最短ルートとなります。

第4章:未経験から人事職になるための3つのルートと戦略

未経験から人事職に転職する場合、いきなり「人事マネージャー」や「採用責任者」といったポジションを狙うのは現実的ではありません。
ですが、正しいルートと戦略を取れば、徐々に人事領域にシフトしていくことは十分可能です。

ここでは、未経験者にとって現実的な3つの転職ルートと、その活かし方について解説します。


ルート①:人事アシスタント・採用事務からスタート

最もポピュラーで現実的な選択肢です。

**「採用の応募者対応」「面接の日程調整」「求人票の作成」**といった、比較的難易度の低い業務からスタートすることができます。

● メリット

  • 業務を通じて採用フローや社内の人事制度を理解できる
  • 応募数の多い企業では、手続き業務だけでも価値が出せる

● 戦略のポイント

  • 「事務処理能力」や「PCスキル」をしっかりアピールする
  • スピードと正確性、関係者との調整力を伝える

例:「前職では営業サポート業務で10名以上のスケジュールを日次管理していました」

こういった経験はそのまま面接調整や人事事務に活きます。


ルート②:総務・バックオフィス系からの兼任

中小企業やベンチャー企業では、「総務・庶務・労務・採用」をすべてまとめて1人が担当していることも珍しくありません。
総務職として入社し、人事業務を徐々に担っていくルートです。

● メリット

  • 少人数体制のため、裁量が大きく、実務経験を早く積める
  • 採用→入社→労務→退職まで一通り学べることも

● 戦略のポイント

  • 「幅広い業務を柔軟にこなしたい」という姿勢を示す
  • コミュニケーションと調整力の高さを証明できる事例を語る

特に中小企業では“何でも屋”的なポジションが重宝されるため、「まずはできることから貢献したい」という誠実なスタンスが効きます。


ルート③:人材業界(派遣・紹介)の営業・CAから人事へ

人事経験者が最も多く転職している業界が「人材業界」です。
企業の採用支援を行う中で、自然と採用や評価、労務の考え方を学ぶことができるためです。

● メリット

  • 求人票の作り方、面接官の見方、評価基準が理解できる
  • 企業と求職者の間に立つスキルが人事に直結する

● 戦略のポイント

  • 「営業ではなく、今度は自社の採用成功にコミットしたい」という動機を示す
  • 人事職に近い立場で仕事をしてきた“地続きの経験”を語る

例:「前職では毎月50名の候補者対応を行っており、書類添削や面接対策まで一貫して支援していました」

このような経験は、人事採用担当としての即戦力につながります。


第5章:未経験からの書類・面接対策|刺さる志望動機と経歴の見せ方

未経験の転職で最も重要なのは、「志望動機」と「経験の伝え方」。
同じ経歴でも、伝え方次第で“人事職への適性がある”と判断されるか、単なる未経験者として見られるかが分かれます。

この章では、書類と面接で採用担当者の心をつかむポイントを具体的に解説します。


■ 書類のポイント:汎用的な職務経歴書では通らない

未経験者の職務経歴書でよくあるのが、業務内容を羅列しただけのパターンです。

例:
接客、レジ、クレーム対応、売上管理、スタッフ教育

このままでは「だから何?」と思われてしまいます。

● 刺さる書き方に変換するコツ

  • 「何を」「どのように」「どんな成果が出たか」を簡潔にセットで書く
  • 人事業務に近い要素をピックアップする

例:
アルバイトスタッフ5名の教育係を担当。マニュアルを用いて1ヶ月以内の独り立ちを実現し、クレーム発生件数が前年比で30%減。

このように、人を育てた・調整した・仕組み化した経験は、すべて人事に通じます。


■ 面接のポイント:自己PRは“経験”+“意欲”のセットで

未経験者の面接では、「なぜ人事に興味を持ったのか?」が必ず聞かれます。
このとき、“感情”だけではなく“背景と論理”をセットで語ることが重要です。

● 良い志望動機の構成例

  1. 前職の経験(事実)
  2. その経験で芽生えた気づき(感情)
  3. 人事という仕事でそれを活かしたい(展望)

例:
前職で新人の育成を担当し、「教え方一つで相手の成長スピードが変わる」と実感しました。人が最大限の力を発揮できる組織づくりに関わりたいと思い、人事職を志望しています。


■ NGな言い回しとその修正案

NGフレーズ改善例
「人と関わるのが好きです」「人の成長に関わることにやりがいを感じてきました」
「安定した仕事に就きたい」「長く組織に関わり、継続的に改善提案を行いたい」
「なんでもやります」「まずは採用業務から入り、ゆくゆくは制度設計にも挑戦したい」

言葉を選び、自分の経験をどう人事の仕事に結びつけるかが鍵です。


第6章:未経験から人事職に就くための学びと準備リスト

最後に、**選考を受ける前に準備しておくべき「学び」や「行動」**をまとめます。
これらを抑えておくことで、説得力がグッと増し、「この人に任せてみよう」と思ってもらえる確率が上がります。


■ 1. 書籍・情報収集

以下のような書籍・メディアで最低限の基礎知識を得ましょう。

分野書籍・サイト例
人事全般『人事の超プロが明かす!採用の成功法則』/東洋経済オンライン人事記事など
採用『採用基準』(伊賀泰代)/Wantedlyのストーリー事例
労務・制度設計『図解でわかる労働法の基本』/厚生労働省「労働条件ポータルサイト」

■ 2. スキル・ツールの基本習得

人事はExcelやWord、スケジュール管理ツールなどを頻繁に使います。

● 習得しておきたいこと

  • Excel:VLOOKUP/ピボットテーブル
  • Googleカレンダー・スプレッドシートの共有操作
  • タイピング速度(1分間に80文字以上が理想)

無料のeラーニングサイトやYouTubeでも十分学べます。実務に近い操作を自宅で体験しておきましょう。


■ 3. 応募先企業ごとの分析

「なぜこの企業の人事なのか?」を語れないと、他の候補者との差がつきません。

● チェックしておくべきポイント

  • 企業の採用ページ/カルチャーの特徴
  • SNSの運用状況(採用広報の意識)
  • 社員インタビュー(どんな人を求めているか)

例:「御社が“自立型人材”を重視していると知り、私の経験とも共通点を感じました」


■ まとめ:人事未経験者の準備リスト(チェック形式)

✅ 人事に関する基本知識を習得した
✅ 面接で語れる志望動機と経験エピソードを用意した
✅ Excelなど基本的なPCスキルを身につけた
✅ 応募企業の情報をしっかり読み込んだ
✅ 誠実で前向きな姿勢を表現できるよう練習した

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